瀧「あのー。実は東京からローマまで行くのに」
卓「うん。と。ああ東京から。」
瀧「一回フランクフルトに行って」
卓「乗り換えだ。」
瀧「フランクフルトで三時間ぐらいいて。で。乗り換えて今度ローマに向かったわけですよ。で。フランクフルトに着いてその乗り換えの便を待ってる間に。待ち合い室にさあ。あのー。アタッシュケースを持った奴がづかづかづかって来て。でそいつの。こう。ステッカーを見たら
卓「ああ。アタッシュケースに貼ってあるステッカーね。」
瀧「ステッカーを見たら」
卓「なめんなよ。と。」
瀧「なめんなよ。KIKI。」
卓「KIKI。うわー。ナウいー」
瀧「Four Roses。」
卓「Four Roses。」
瀧「うん。」
卓「ゆっくり。ゆっくり走ろう北海道」
瀧「北海道」
瀧「キツネのマークかなんかが入ってて」
卓「熊出没注意」
瀧「熊出没注意。子供が乗ってます。とかがあって。こりゃ間違いねえDJだと思って」
卓「違うだろ」
瀧「貼ってあったんだけど。ロッテルダムレコードとかハートハウスとかさあ」
卓「いろんなレーベルの」
瀧「レーベルの貼ってあったもんで。」
卓「ステッカーが。」
瀧「およ。」
卓「ほよよ。」
瀧「ほよよ」
卓瀧「きーん。」
卓瀧「んちゃ。」
瀧「『ユーチュルビックはあ。ユーチュルビックはDJ?』って聞いたら」
卓「くぴぴ。ぷるる。」
瀧「くぴぴ。ぷるる。くぴっぷーとか言って。聞いたら。」
瀧「いや。向こうが違うと」
卓「No. I am not DJ.」
瀧「Not DJ.」
卓「I am baron gang DJ.」
瀧「おまえステッカーを見りゃ分かるだろうと。な。違うんだ。俺はね。あのー。あるレーベルのプロデューサーやってる。って言ってて。そいつにさあ。ローマで。どんないいクラブがあるか」
卓「こいつだったら知ってるだろう。」
瀧「そう。知ってるだろうと思って聞こうと思って話し掛けたら。でもう飛行機出ちゃうからさあまあ中で話そうっつって中で話したらちょうど席が隣でさあ」
卓「ああほんと」
瀧「偶然にも。で。で、いったいあんた誰なんだと。ね。」
瀧「ユーチュルビックは誰ですかと。聞いたわけなんですよ。『Who is this?』と。」
卓「ええ。ええ。ええ。これは誰ですかと」
瀧「これは誰ですかと。」
卓「これは後ほど発表します。はい。」
瀧「聞いたわけなんですよ。たら。そいつがぺろって名刺出していや俺こういう者なんだけどって言って。」
瀧卓「(笑)」
瀧「それで出して。わた。渡されたそこに。ま。フランクフルトビートと。」
卓「ああ。あのーフランクフルトで結構有名なテクノのやつね。」
瀧「そうなんですよ。フランクフルトビートのやつで。で。イェンツって奴なんだけど。で。」
卓「ビート・イェンツって名前のやつ。」
瀧「そうそうそう。で。あちきはフランクフルトビートのこういう者ですよって。で見て。あ。知ってる知ってる。あたし知ってますよ。あんたのレーベル。持ってますよ。っつって。で。そっからこうなんだかんだ話しててさ。で。とりあえずいいクラブは。」
卓「東北弁で話したんだよな。」
瀧「そうそうそう。やあ。よかクラブは。よかって言うのか? で。」
卓「よかは九州だ」
瀧「あるんだけど。で。書いて。ぱぱぱっと書いてもらってさ。で”何しに行くの?”って俺が聞いたらさあ。あのー。フランクフルトビートとは直接関係なくて。ローマで。なんか。プロモーションビデオ。撮るの手伝いに行くらしいんだよ。で。その。プロモ撮りを。えーと土曜日? 土曜日の昼間三時からやるから。『おまえ来れば?』ってって。で。撮るところはギャゾラインっていうクラブなんだけどローマのとこの。そのギャゾラインの。で撮るから。で『来いよ』って言うからそりゃー行くしかないじゃん。ずっかずっかずっかずっか。」
卓「ずーずーしくね。」
瀧「行ったわけですよ。」
卓「テレビ出てるし。」
瀧「そうそうそうそう。”おお知ってる知ってる。モグネグ? おおモグネグ俺。知ってる?”って感じでさあ。」
卓「”ねえビートさん”って?」
瀧「そうそうそう。”俺俺俺”って感じでさあ。で。行って。で。づかづか乗り込んで行ったわけですよ。」
卓「でー。そのビートさんも。”ねえ。あれ催眠術って本当なの? ほんとにかかってるの?”って」
瀧「そう”ほんとなの?”って。そうそうそう。で行ってさあ。で。そこで。こう。撮影現場。でまた冴えないビデオでさあなんか。あの。イタ。イタリアのさあ。イタロハウスって感じの。全然つまんないやつで。でーそれはまよくてさあ。でーその休み時間にさあ。あのー。ひとりDJが出て来て。その。ばっとプレイし出したんだよ。で。それ聴いたら結構よくてさあ。でー。”あいつなんてDJなの?”って言ったら。あいつは。なんだっけ?」
卓「ばろーぎゃんぐ」
瀧「そうそうそうそうそう。じゃなくて。マ。マルコ?」
卓「マルコ」
瀧「マルコ。ってDJで。むかしイビザで回したこともあるっつてさあ。でよくて。”あいつ今日どこで回すの? ここで回すの?”って聞いたら”あいつもうちょっと離れたクラブで回すから”って言うからさあ。”ああ。じゃなんてクラブ? 教えて教えて”つってさあ。”いや。でも離れてるよジャパニーズ”って感じでさあ。”おまえ瀧だろしかも”って言われてさあ。」
卓「そこだけ日本語でな」
瀧「”え。えー。そんな俺が今スキー板を付けてるからってそんな言い方をすることは”っていうさあ。」
卓「スキー。スキー板にシルクハットだからって」
瀧「”じゃなに? 外せばいいのかよ。じゃあ” 立て掛けてな。スキーを。」
卓「”プラスその軍手も取れ”と。」
瀧「”軍手も取れ”と」
卓「いぼいぼ付きの」
瀧「ほんとに。指出すだけじゃダメ?って感じで」
卓「きききりんがしてたやつ。」
瀧「そうそうそうそう」
卓「ムー一族で。」
瀧「そうそう。」
卓「それも外して」
瀧「そう外して。で。聞いたらさあ。ローマから20キロくらい離れたところになんとかって町があって。で。そこにあるブルーゾーンでとこで。今日まわすんだ。って言うからさあ。でー。”え何時くらいに回すの”って。”たぶん2時3時”って言うからさあ。”あーじゃー俺行く行く行く”って。で。”おまえ車持ってるか?”って聞かれてさあ。”車持ってないけどでもタクシーで行けば行けるでしょう”って言ってさあ。”でも帰り大変だよー”とか言うからさ。帰りはマルコが乗っけてきて。”じゃ。ま行きしょうがないから行きは、タクシーで行け”と。自分で。でも帰りは”せっかく日本から来たわけだから俺が自分の車に乗っけてローマまで戻って来てやる”っつって。で。考えたのが。だいたい20キロって言ったら東京から考えたら横浜じゃん。って感じじゃん。だから横浜にクラブがあるもんだなと思って。頭ん中は。でタクシーで行っても高速で行ったらぴゃっぴゃっぴゃーだ。と思ってさあ。で、夜になりました。」
卓「お。ま。待ちわびた」
瀧「ても。て」
卓「お気に入りのチャイナドレスに着替えて」
瀧「着替えて。ね。で。その書いてもらった紙?」
卓「うん。紙を食べて」
瀧「紙に。そう。むしゃむしゃ。”あーいけねえ食べちゃいけないんだ” それで紙の裏に書いてあった富士山てのを。”へー”って感じで。じゃなくて。ブルーゾーンなんとかって言うのをたよりに
卓「住所と。
瀧「そう。タクシー乗り場まで行って。でタクシー乗り場のさ。あのー。止まってるやつにさ。これ見せて。”ここ知ってるか?”て聞くとさ。みんなさあ。見た瞬間”あっ”て思うんだけど。”いや。行きたくない”って言うんだよ。で。”行きたくない” ”なんで行ってくれよ。金は払うからさ”つうんだけど”行かない”って言ってさあ。で。三台くらい聞いて三台目のタクシーがさあ。なんか若い。イタリア人?のやつで。でー。そいつに聞いたらさあ。”いやーここかー”って。”知らないんだけどー”って。”じゃーいーよ”って”他の車に聞く”ったら。”いやー待て待て待て”って
卓「”俺が連れてく”
瀧「そう。の。”連れてくから”って。地図をぱって開いてさあ。”えーえーとあったあった。こう行ってこう行ってこう行きゃいいだろ。OK。わかった。乗れ”ってってさ。で。”おまえでもほんとにこうその場所知ってるの?”って聞いたらさあ。”いやわかんないけど。でも。行ってみないとなあ”ってごねてるんだよ。まだ。行こうかどうかって。そいつ。もう。さあ。時間どんどん過ぎちゃうからさあ。いらいらしてさあ。”もういいから。とにかく行け”と。”あとは行って考えようじゃないか”と。
卓「”とりあえず行け”
瀧「”とりあえずスタートさしてくれ”って言ったら。”OK。わかったじゃあジャパニーズ。あの。来て。俺の。助手席に乗れ”っつってさあ。で助手席にふたりで乗ってさあ。じゃ行くぜってぶーって話したらさあ。でー。”一時間くらいかかるよ”って言われたからさあ。それまで世間話でもと思って。片言の英語でさあ。
卓「”今年巨人強いかねえ”とか
瀧「そうそうそうそう。”How do you think Giants?”って感じの。でいろいろ聞こうかなと思ったらさあ。英語全くだめでさあそいつ。」
卓「あーそいつが。
瀧「うん。で。”How old are you?”聞いてもさあ。”なに?”って感じのさあ。」
卓「”なにー”」
瀧「”なにー”」
卓「トイちゃんばりだ。」
瀧「そう。”なに言ってるかわかんないよー”」
卓「”わかんないよー”」
瀧「て言うから。もうそ。しょうがないじゃん。で若いしさあ。一時間なんとか間持たせなきゃなんないしさあ。遠くまで行ってもらうわけだから。ローマのタクシーはそんな遠くまで行くのないからさあ。で。行ってもらうわけだからさ。一応こっちも気を使ってさあ。”えーとイタリアイタリア。えーとえーと。サッカー”とかさ。”えーと。マラドーナ” ”フェラーリ”とかさ。で。その4つぐらいの単語で一時間なんとか持たせてさあ。」
卓「ゆっくり言ってな。」
瀧「そ
卓瀧「”マーラードーナー(瀧「マードラドーナー)”」
瀧「”え? わからない。もうちょっと速く言おうか”って感じで。で。」
卓「お」
瀧「でーさー。あのー。高速乗ってさあ。案の定。で。ぶーって走り出して。で。高速降りました。と高速降りたらさあ。どんどんどんどんまわりの家が減ってくわけだよ。」
卓「うん。景色が寂しくなって」
瀧「景色が寂ーしくなってきて。ほんとあの。なん。なんだ。道がさあもう一本道になっちゃって。で街灯さえもない。」
卓「うんうん。」
瀧「で対向車は来ないしさあ。家はなくなってくはさあ。も見渡せばさあこう。草原て感じ? で感覚で言うとねえ。ほんとねえ八王子とか。山奥? 山奥の。こう。一本道のところをずっと上ってくって感じだから。俺不安なっちゃってさあ。今度。」
卓「安芸川渓谷って感じの」
瀧「そうそうそう。で不安なっちゃって。今度。”やばい。こいつ。俺をどっかに連れて行ってレイプする気かも”とか思って。」
卓「”やばいー”っと思って。」
瀧「”やばいー”と思ってさあ。」
卓「チャイナドレスのこう。裾を。」
瀧「裾を」
卓「こう下ろして。」
瀧「”やっ”て感じで。」
卓「あまり。あまり挑発的な。あれは見せないようにって。」
瀧「そうそうそうそうそう。ハンドバッグ置いて。こう。な。股のとこに。”きゅっ”て。ガードして。でな。それで。走ってったらこう不安なっちゃってさあ。でー。途中何度も何度も地図見ながらさあ。行ってて。で。まじでさあ。こう。崖を切り。切り。ぐふ。切り崩して道が通ってるようなところ? 行ってさあ。」
卓「仮面ライダーが戦いそうなところだ」
瀧「そうそうそう。でほんとにさあ。家がない。ってところまで来ちゃったから。おい。こんなところにクラブあるわけねえだろ。って思ってさあ。」
卓「うん。」
瀧「たらそいつがさあ。ずーっとやってて。最後にさあ。町に着きそうになったんだよ。でも不安になっちゃってさあ。で。うわ。こいつ。そのブルーゾーン? 見つけなきゃいいな。見つけなきゃ行って。やっぱなかったね。じゃあローマに帰ろう。つって。」
卓「帰れる。」
瀧「引き返せリゃいいかな。って思って。ま。それも。話のネタには面白いかなって思ったらさ。そいつが見つけやがってさあ。」
卓「そう。そのブルーゾーンを。」
瀧「”あーあったー”って感じの。」
卓「”ねえ瀧あったよー”」
瀧「”あったよー”って。”ここだよブルーゾーン。ほら青いじゃーん”て感じで。」
卓「おう。で着いた。」
瀧「着きましたわ。でもうそいつにさあ。金払って。”じゃあね”って。帰らして。でブルーゾーンいざ入ろうと思ったらさあ。ですごい。あのねー。なんだ。山奥のちょっとしたほんとさあ。あの村? 村の。なんか。たぶん村起こしかなんかのさあ。そう。イベントかなんかで。木曜と土曜。
卓「キ。鬼っ子(キッズ)フェスティバルって感じの」
瀧「そうそうそうそうそう。で木曜と土曜だけ開くクラブでさあ。で。入ろうと思ったら。で。やっぱ結構人が来ててさあ。おしゃれしてるやつが。で。行ったらさあ。あの。”おまえじゃあ会員証はどうした”って言うから。”え。なに?”って」
卓「”え。要るの?”って」
瀧「”え。要るの?”って。で”会員証がないと入れないから”って。”あーでも俺日本から来たし。DJのマルコってやつに紹介されてここまで来てここで会おうって約束してるんだ”って言ったら。”いやだめだめだめ。全然”てさあ。であのー。もめてたらさあ。裏。後ろから。この。なに。あのベストを着てさあ。ベストの前に。あの。」
卓「胸」
瀧「SECURITY。A TEAMって書いてあってさあ。カタカナで。」
卓「ウソ言うな」
瀧「英語でSECURITY A TEAMって着たさあ。身長190センチぐらいあるさあ。やつが4人だだだだだって来て。まじであの。なに。格闘技グランプリって感じのさあ。がたいのやつで。が。づかづかづか。なにもめてんじゃー。って感じで来ちゃったもんで。”どきー”って感じで。”いや。このジャパニーズが会員証もないんだけど”」
卓「”入りたい”と」
瀧「”入りたいって言ってるんだ”って。で。”ほいじゃ。ま。パスポート持ってんのか?”て言って。”パスポートも今日持ってないんだ”って。”クレジットカードは?”って。”取られちゃうと困ると思って置いて来た”つってさあ。でー。”じゃ。じゃあ。だめだな。帰って”」
卓「”帰って”」
瀧「って。言われてさ。”えー?”で表見りゃさあ。真っ暗で人っ子一人歩いてないところ。で車はもちろん通りませんよ。バスなんかもちろんないし。もう。一番近い駅まで十何キロってところだからさあ。でもう。しょぼーんて感じになって。」
卓「ピエール。イタリアの山奥で」
瀧「山奥で。しょぼーん」
卓「途方に暮れる。」
瀧「でしかもいるのはジャパニーズ俺だけ。で。結構お客さん入ってるんだけど。それも全員イタリア人。イギリス人とかそう言う人じゃなくてもう全員イタリア人。」
卓「イタリア人。おう。おう。スタローンばりの。」
瀧「そう。スタローンばり。まじで。で。みんな。ぴしっとおしゃれしてるやつでさ。どんどんどんどん不安なって来ちゃってさ。そのうちにさあ。その向こうでなんか。その。な。ま。”帰んないぞあのジャパニーズ”っていうこと言ってて。そのマルコうんぬんって。”あ。マルコか。あ。知ってる知ってる。じゃ入れてやれ”ってことで。で。入れてくれたんだ結局。」
卓「入れたんだ。」
瀧「そうそうそう。で入れてさ。で入ったら。なんか結構盛り上がってて。なんかイタリア人もさあ。あの。ロンドンとかああいうとこのさあ。こうラフなかっこで行って。らくちんなかっこで行って踊るぜ。って感じじゃなくて。もうばっきばきにおしゃれしててさ。」
卓「びしーっ。」
瀧「びしー。ほんとに。首にあの何ぐるぐる革巻いて。ぴっちりした衣装着て。もう下手すりゃ化粧もしてるくらいなさあ。やつがさあ。来て。で女と見りゃ口説いてるしさあ。ほんとに。で便所行きゃゲロ吐いてあって。それにはちゃーんとパスタが入ってるしさあ。」
卓「わあイタリアに来たんだって実感した」
瀧「ほんと。どのゲロ見てもパスタ入ってるんだよ。わっかりやすー。って感じのさあ。それで。でー。でもなかは結構盛り上がってて。そのうちにマルコもやって来てさあ。”おうおうジャパニーズ”って感じで。”楽しんでる?”って感じで。”楽しんでるよー”って感じでさあ。でー。踊ってて。しばらくしてさ。4時半くらい。で疲れちゃったからチルアウトルームのとこでさあ。こうひっこんでさあ。ひとりでどかって座ってさあ。あの。だらけてたわけ。そーしたらだんだん眠くなって来ちゃってさ。今度。」
卓「睡魔が」
瀧「そう。あまりの来る時の冒険振りに疲れちゃったもんで。でこうやってうとうとしちゃったら30分くらい寝ちゃったんだよ。で30分くらいし。”あ。やばい。寝ちゃった”と思って。あ。でまだ音楽まだぼんぼんぼんぼんって言ってるからさあ。”あーまだマルコまわしてるのかな”と思って。”どれどれちょっと見てこようかな”ってぱって見たら。全然違うさあ。なんか。けむくじゃらなやつが。さあ。」
卓「見たこともないやつが」
瀧「山男みたいなやつがまわしててさあ。マルコは結構かっこいいやつなんだけど。山男のやつがまわしててさ。”あら”」
卓「おかしいぞ」
瀧「”マルコふけたな”って感じで。でさあ。それ見たらさあ。で”マルコは?”って聞いたらさあ。”いやーもう帰っちゃったよ”ってさあ」
卓「”えー”」
瀧「”えー”」
卓「”我が輩が寝てる間に”」
瀧「そうそう。帰っちゃったの。”俺を送ってくれる約束は?”っつってさあ。もうそんなもん全然いい加減でさあ。もうどんどん帰っちゃってさあ。で。しょうがないからって。座ってさあ。またこうしばらくうとうとしちゃってさあ。”あ。またいけねえうとうとしちゃった”ってぱって見たらさあ。なんかイタリア人のさあ。わけーやつがさあ。俺のポケットをまさぐってさあ。」
卓「(笑)」
CM
卓「そして」
瀧「そして。で。まさぐってるわけだよ。そのね。あのー。イタリア人が。でまさぐってる。”ま。まさぐってる”って思って俺もあわててハンドバッグで手ををこうぎゅー。”やめてー”って感じの。」
卓「レ。レースの。手袋をした手で。」
瀧「手袋をした手で。”痴漢よー”って感じで」
卓「”いやー”」
瀧「”いやー”そいつも。それでさあ。”やべー起きた”って感じで。握ってた。その。俺の腕時計を放してさあ。」
卓「女性用のな。」
瀧「それがさもう。なんかもうだから小悪党なんだよ。キャッシュとかじゃなくて。時計とかさあ。そういうもん? でさあ。で。そう。もうそのさあ。ポケットまさぐられ。あったもんでさあ。まわりみんなイタリア人じゃん。もうそこで俺のネガティブな部分はむくむくむくむくさあ。キノコ雲のようにこうふくらんできてさあ。やべえ。と思って。これ帰らなきゃ。って思ったんだけど。帰りようがないじゃん。まあなんとかでも。これでね。クラブだから。6時7時ぐらいまでやって朝になれば。明るくなればなんとかなるだろう。と思って。でそれまで時間を潰そう。と思ってたら。そのクラブがなんとさあ。5時半に終わりやがって」
卓「”閉店でーす”」
瀧「”閉店でーす。帰った帰ったー”って感じでさあ。」
卓「”もう帰ってー”」
瀧「”もう帰ってー。おしまーい”ってさあ。」
卓「”僕達もうお店閉めて寝るのー”」
瀧「のれん閉めちゃって。のれん仕舞ってる。って感じでさあ。だもん。でさあ。その。で俺が帰れないっていうの知ってるからさあ。A TEAMのやつとかさあ。で。」
卓「セキュリティがね。」
瀧「セキュリティが。で。結構親身になってさあ。”じゃあローマのほうに帰るやつ聞いてやるから”っていろんなやつに聞いてるんだけど。そんなわけわかんねえさあ。」
卓「ジャパニーズをな」
瀧「日本から来たジャパニーズをさあ。ローマまで乗っけてく気。なるわけなんかないじゃん。しかも俺だ。でっかいぬぼーっとしたやつがさあ。」
卓「フラーンケーン」
瀧「ぬぼーとしたジャパニーズ。さっきはフロアーで楽しそうに踊ってたやつがさあ。帰れねえ。とか言っててさあ。誰が乗っけてくかって感じでさあ。みんなどんどん帰っちゃって。」
卓「しかもチャイナドレスの。」
瀧「そう。そうそうそう。でさあ。俺もその時だんだん不安なって来てさあ。で不安なってるのよそにさあ。A TEAMのやつがさあ。その。クラブの前でさあ。道でさあ。組み手とかやってるんだよ”相手がこう来た場合はこう返してこれで蹴りだ”ってさあ。”これで急所を打てば大丈夫”とかって。やっててさあ。俺、”こわー”って感じでさあ。で。それでさあ。で。それでさあ。で。結局。俺がもう車ないからっつって。」
卓「帰れない。」
瀧「でセキュリティーのやつも。もう。”いろんなやつに聞いてみたけどだめだった。ね。でもなんとかこのジャパニーズを返さなくちゃいけない” ね。それがセキュリティーとしての使命でもあってさあ。で。”じゃ。しょうがねえ。俺の中の。一人が。ね。あのー。車持ってるから。そいつにおまえ乗っかって。あのー。一番近い。一番近いタクシーが拾えるところまで送ってってやる”っつって。」
卓「おう。おう優しいじゃん。」
瀧「そうそう。おう優しいなあ。つって。で。一番近いって言ったら。まあタクシーで10分とか15分とか行きゃおっきい道とかあるから。乗れんのかなと思ってさあ。じゃあ。じゃ。ありがとうってそのさあ。英語ができるやつに。ああじゃありがとうって話しててさあ。でそいつのとこにさーっと行こうと思って。そいつにさあ。いやあほんとどうも親切にありがとう。って話しかけたらさあ。そいつさあ。全然英語ダメでさあ。”あ? 何言ってんの?”って感じでさあ。”ごめん。俺全然英語ダメなんだ”ってさあ。ものすごい。山男み。て言うかもう。K1グランプリって感じのやつがさあ。”わかんないごめんねー”っつって。づっかづっか歩いてって。でそいつの車にちょこんと俺乗ってさあ。で。ぶーって走り出したら一向に着かなくてさあ。また。40分くらい?」
卓「しかも相手は英語分からない」
瀧「英語分からないやつ。で。物凄いばかでかいやつ? の横でちょこーんて感じで。40分ぐらい無言」
卓「(笑)無言劇」
瀧「二人で無言劇。戦わしたもん。で最後着いて。で40分くらいで最後駅着いて。ききーつて。”ここだー。ジャパニーズ。あそこにタクシー停まってるから乗って帰ればいいよ”みたいなに指差してさあ。言ったから。”はいはいはい。ほんとにありがとう”って。”助かったよ”ってさあ。」
卓「心から」
瀧「そう。心から。”ほんとにありがとう。まじで俺。本当にありがとう。と思う”つってさあ。”じゃなんのお礼も出来ないから”って金出してさあ。で。悪いかと思ったんだけど。金出して。”これでみんなでビールでも飲んでくれ”って」
卓「旧札の千円札を。」
瀧「そう千円札」
卓「伊藤博文の。」
瀧「そうそうそう。」
卓「大事にしてあった。古いお札のピン札をね。」
瀧「ピン札を。”おまえ。これは今ないぞ”って感じで。」
卓「”ないぞ。あと。沖縄」
瀧「ほんとに。」
卓「”あと。それに沖縄海洋博の100円玉も付けちゃおう”」
瀧「”付けちゃおう”って感じで。”オリンピックのコインも付けちゃおじゃあ。持ってけ泥棒”って感じで。」
卓「太っ腹だ。ギザ十も付けて」
瀧「”付けちゃう”って感じでさあ。でそいつにさあ。渡したらさ。”そんなものもらえないからいい。いい”ってさあ。もう何度も。こう。押し問答あって。」
卓「ギザ十は要らない」
瀧「”ギザ十は要らない。自動販売機使っても出て来ちゃうから”って感じで。で。そいつが”じゃあいいからいいからじゃ。ま。なんの心配もなくお前は帰れ”ってさあ。ぶー。とか言って。で俺そっからタクシー乗ってさあ。ホテル帰って来て。ホテルの部屋を”がちゃ”っと開けた瞬間に。”うわあ。よく帰って来たな俺”って。」
曲「(フェードイン開始)」
卓「(笑)冒険したなあ。」
瀧「(笑)面白かったよ。でも。」
卓「はい。ということでですね。じゃ。次です。これはですね。えーと。エレク。EXTORTIONっていうレーベルで。これそこの第一弾なんですけど。第二弾のRISING SUNSってのもめっちゃくちゃいいんですけどそのいちばん最初のやつ。聞いて下さい。サーフ。SULFUREXで。えーと。これね。ホワイトレーベルで曲名分かりませんがSULFUREXの曲です。」
曲「POINT BREAK」SULFUREX(EXTORTION/EXPERIMENTAL) (YouTube | Amazon Music)
CM
卓「でね。」
瀧「はい。」
卓「というイタリア話。」
瀧「イタリア珍道中。」
→ 続いて韓国へ
瀧のイタリア珍道中
電気グルーヴのオールナイトニッポン最終回(1994/3/29)より
公開.1999/4/1
訂正.1999/4/17, 2024/2/18, 2024/9/24